ICU(集中治療室)は術後急性期患者や急変患者などの看護がメインとなり、病棟での看護とはかなり違った視点、知識、技術が必要になります。
私の病院では新人からICU配属になることができます。私ボルボサは消化器外科病棟で3年経験し、その後ICUへ異動となり3年経ちました。
病棟看護経験のある看護師視点で、ICU配属になることの苦労や病棟看護との違いを踏まえ、1年目でもICU配属でやっていけるのか解説します。
これからICUで働きたいと思っている看護学生などの参考になると思います。
※今回はICU、病棟看護に優越をつける意図はありません。それぞれが必要の役割を担っており、それ故に独特の大変さがあると考えています。
・ICUとは違う病棟の大変さが分かる
結論
ズバリ、結論から言います。
どの仕事もそうなのかもしれませんが、
頑張り次第で乗り越えられます!!。
そして急性期看護になるため急変時の素早い対応・観察が必要であったり、知識を学びたいという思いがあれば大丈夫なはずです。
精神論かよ!と思われた方すいません。しかし頑張る気持ちがあることが前提として必要だと思います。
ICU、病棟はそれぞれ違う大変さがあります。その上で病棟勤務以上に何が問われ大変なのか後述してきます。
ICU看護の大変さについてー病棟看護と比較してー
勉強量が莫大
通常病棟配属になると学生の頃とは違い、配属した科の学習が中心となります。
私の場合は、消化器外科であったため食道〜肛門、腹腔内の臓器である膵臓、肝臓などの消化管関連の疾患に加え、術後管理、ストマ管理、術前・術後の化学療法など学習が必要でした。
正直前述した科の学習だけでも、1年目では網羅できず少しずつ知識・経験を身につけていきます。
それに対してICUの場合は脳、消化器、腎臓、泌尿器、心臓、整形、移植などの外科に加えて、血液疾患などの内科的な疾患とも関わるため解剖から疾患まで学習の範囲が広すぎます!!。
さらに疾患だけでなく、ICUの場合は特殊な治療として持続透析や人工呼吸器、補助循環としてIABPやECMOなど回路、デバイス管理も学ぶ必要もあります…
病棟時代は呼吸器に触れることは数回しかなかったので、1年目から実際に管理を学べることの羨ましさの反面、怖さもありますね。
急変リスクが高い
感染契機の敗血症・DIC、術後操作・肝不全進行による凝固破綻による出血。ECMOなど使用してる場合は、血栓ができやすくそれによる血栓症、予防で使用する抗凝固薬による出血もあり、循環・呼吸不全で急変するリスクのある患者が多いです。
病棟の頃ももちろん術後出血で急変対応することもありましたが、ICUと比較すると少ないと感じます。
急変時は急ぎICU内で挿管、デバイス挿入、止血等行う必要もあるため、その急変時は自分が主になって動くといった心構えは必要です。
患者とコミュニケーションが取りずらいことも
病棟では患者さんは基本的に口頭でのコミュニケーションが取れますよね?ICUの患者さんはそうもいかないことが多いです。
呼吸状態が悪ければ経口挿管で人口呼吸器管理をします。この挿管中は苦しいため、通常初期は鎮静薬を使用して寝てもらいます。そして徐々に管を抜く準備で自分の呼吸に戻していくために、起こしていきます。
しかし口に管があると患者の訴えがわからないことが多いです。
ICUでの日数も多くなると筋力低下で筆談もできにくくなることもあり、コミュニケーションに難渋することも多くないです…
もちろん挿管して苦しいことは本人の様子、呼吸回数、呼吸器から分かることが多いです。
しかし何かをして欲しいなどの訴えが、聞き取りにくく申し訳ない気持ちになることも多々ありました。
コミュニケーションが難しいこともありますが、文字盤を使用して一文字ずつ聞いたり、クローズド・クエスチョンなどを活用するなど、看護力が問われる場面なのかもしれません。
ICU配属のメリット
ICUの大変さは前述したとおり大変ですが、いい点もあります。
全身を看れる看護師になれる
勉強量が膨大で大変という話をしましたが、勉強することで全身を観察できることは大きなメリットです。
また急性期の呼吸器管理は病棟では見ることは普通はできないので、呼吸器離脱までのウィーニングの過程、呼吸器モード、圧サポートなど知れる機会は院内看護師でも少ないはずです。
患者1人としっかり向き合える
病棟時代は日中5〜7人の担当、それに加え入院、退院対応、OPE出し・受け。夜間は10人以上を受け持つなど業務が多すぎて、患者1人に向き合う時間が少なかったです。
ICUでの看護師配置上多くても、1人の看護師で2人までの患者を担当します。
そのため患者の病態をしっかり読み解き、考え、患者に必要なケア等を集中して行えることは、とてもやりがいがあり大きな学びになります。
Drが近くにいる安心感
ICUの場合は基本的に急変リスクのあり患者が多いこともあり、24時間複数のDrが基本的にいます。そのためバイタル的な変化があればすぐ相談し対応してもらうことができます。
対して病棟の場合は常にいるわけではありません。夜間になれば、その科当直Drが1人在中してるかどうか…、また定期的に回診にきているわけでもありません。
患者のバイタル・疼痛時の指示などは前もって指示をもらっています。しかし指示に逸脱していないが患者の尿量が減ってきたり、血圧が下がってきたり、ドレーンの排液が増減している等で気になることがあります。
こんな場合朝の回診時に報告でも済む問題なのか、急ぎ連絡すべきなのかアセスメントをした上でも迷う場面があり、先輩達と電話をするか迷ったこともありましたね。
病棟看護の大変さーICU勤務と比較してー
業務が多い
前述したように病棟勤務の場合は、日中は5人以上、夜間は10人以上を受け持ちます。
ICUと比較して重症患者はいなくて、基本的に患者さんは落ち着いています。しかし、人数が多くなる分一人当たりの記録や、ケアなど業務的な忙しさがあります。
私の病棟時代の流れは
朝のバイタル測定、入院患者対応、清拭ケア、術後患者のリハビリ、パウチ交換、食前血糖測定、OPE受け…翌日以降に退院する患者の書類整理、OPE準備…無理でしたね。
とても定時(17時)には終わらなかったです。看護をするというより、業務をこなす風になってしまうこともあったかも知れません。
少ない人数でのせん妄・緊急入院・急変対応
夜間になると、看護師の数はグッと減ります。
そんな状況で看護師がもっていかれる事態に陥ると、病棟全体での業務が回らなくなります。仮に3人夜勤で急変が起きた場合、2人が対応しているとして残り1人が、時間でやらなけばいけない業務をやるとします。もう無理です…。
ICUの看護配置上、看護師を急変時対応に派遣しても、他のベッドサイドの看護師の人数を一時的に、3〜4人に担当にするなどが可能でした。
まとめ、おまけ
ICU、病棟では求められる技術や知識が異なります。
ICUでは病棟と比較して知識・技術を求められることは多いですが、その分患者1人と向き合う時間が多いことや、幅広い知識を学べるメリットがあります。大変ですが1年目からICU配属も可能です!
ICU異動になって出来なくなった、衰えた技術
- 採血
→ICUの患者は動脈ラインが留置され、24時間血圧がモニタリングできます。それに加え逆血できるため、刺さなくても採血ができてしまいます。 - ルート確保
→全身状態が悪い浮腫も強かったりし、とても四肢から穿刺することができないことも多いです。内頸からCVを挿入したりDrがエコーで探しながらルートを確保することも多く、やる機会が減ってしまいました。 - パウチ交換
→消化器外科時代に身につけた技術ですが、ICUの患者でつけるとしても、全員臥床していることも多く、パウチの選定等のアセスメントそする機会が減りました… - 退院支援
→ICUでは病棟へ帰ることを目標のため、患者が退院するための介入をすることはなくなったため、自宅で活用するサービス、患者指導などの退院支援技術は衰えました。
病棟だから学べることもたくさんありますね。自分が何をしたいのか考えて配属先を考えてください。
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